残暑が続く時期は、熱中症だけでなく、脱水などを背景とした胃腸の不調にも注意が必要です。 突然お腹が痛くなり、その後に下痢をして血便が出た――。このような症状があると、「大腸がんではないか」「腸から出血しているけれど大丈夫だろうか」と心配になる方も多いと思います。 突然の腹痛と血便を起こす病気のひとつに「虚血性大腸炎」があります。虚血性大腸炎は比較的よくみられる大腸の病気で、多くの場合は適切な治療によって改善します。しかし、血便はほかの大腸疾患でも起こるため、自己判断せず原因を確認することが大切です。 横須賀市久里浜の久里浜横井クリニックでは、血便や腹痛などの消化器症状について、診察のほかCT検査や大腸カメラ(大腸内視鏡検査)に対応しています。今回は、虚血性大腸炎の症状や原因、なりやすい人、受診のタイミング、大腸内視鏡検査などについてわかりやすく解説します。
 
虚血性大腸炎とは?
虚血性大腸炎とは、大腸への血流が一時的に悪くなることで、大腸の粘膜に炎症や出血が起こる病気です。 「虚血」とは、臓器に十分な血液が届かなくなる状態をいいます。大腸には細い血管が張り巡らされており、血液から酸素や栄養を受け取っています。この血流が何らかの原因で一時的に低下すると、大腸の粘膜が傷つき、炎症や出血を起こします。 多くの場合、血管が完全につまってしまうわけではありません。血流が低下しやすい状態に、便秘などによる腸管内の圧力上昇などが重なって発症すると考えられています。
 
典型的な症状は「突然の腹痛→下痢→血便」
虚血性大腸炎は、比較的突然発症するのが特徴です。典型的には、突然お腹が痛くなり、便意を感じて下痢をし、その後に赤い血が混じった便が出る、という経過をたどります。 左側の大腸、特に下行結腸からS状結腸に起こることが多いため、左下腹部を中心とした痛みがみられることがあります。最初は普通の腹痛や下痢だと思っていたところ、その後トイレで血便に気づき、驚いて受診されるケースもあります。
 
どんな人が虚血性大腸炎になりやすい?
虚血性大腸炎は一般的に中高年以降に多くみられます。年齢とともに動脈硬化が進みやすくなり、腸への血流が低下しやすくなることなどが関係しています。 • 便秘がちな方 • 高血圧のある方 • 糖尿病のある方 • 脂質異常症のある方 • 動脈硬化がある方 • 脱水状態になっている方 などでは発症に注意が必要です。
便秘との関係
便秘などによって大腸内の圧力が高まることも、虚血性大腸炎の発症に関係すると考えられています。便がたまって大腸の中の圧力が高くなると、腸の壁にある細い血管が圧迫され、血流が低下することがあります。 そのため、硬い便が続いている方や排便時に強くいきむことが多い方では注意が必要です。虚血性大腸炎は高齢者だけの病気ではなく、便秘などを背景に比較的若い方が発症することもあります。
脱水にも注意
体内の水分が不足すると、循環する血液量が減少して大腸への血流も低下しやすくなります。暑い時期にたくさん汗をかいたときや、水分・食事が十分にとれていないとき、下痢や嘔吐が続いているときなどは注意が必要です。 特に高齢の方では、喉の渇きを感じにくく、気づかないうちに脱水になっていることがあります。
血便が出たら虚血性大腸炎?
血便を見ると「虚血性大腸炎かな?」あるいは「大腸がんでは?」と心配になるかもしれません。しかし、血便だけで病気を判断することはできません。 • 大腸がん • 大腸ポリープ • 大腸憩室出血 • 感染性腸炎 • 潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患 • 痔など さまざまな病気で起こります。特に大切なのは、「血が止まったから大丈夫」と自己判断しないことです。一時的に出血が止まっても、出血の原因そのものが確認できたわけではありません。
どんなときに受診すればいい?
これまでなかった血便が出た場合には、一度医療機関で原因を確認することをおすすめします。特に、突然の腹痛や下痢に続いて血便が出た場合には、虚血性大腸炎を含めた大腸の病気を考える必要があります。 • 腹痛が強い、または痛みが続いている • 血便を繰り返している • 出血量が多い • 発熱や嘔吐がある • お腹が張って硬く感じる • 冷や汗が出る • めまいやふらつきがある • 顔色が悪い、ぐったりしている • 時間とともに症状が悪化している といった場合には、様子を見続けず早めに受診してください。強い腹痛や大量の出血、意識が遠のくような症状などがある場合には、夜間や休日でも救急受診を検討する必要があります。
虚血性大腸炎の診断|CT検査と大腸内視鏡検査
診断では、いつから、どのような腹痛があり、下痢や血便がどのような順番で起こったかなどを確認します。そのうえで、症状や状態に応じて、血液検査、CT検査、大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)などを行います。 CT検査では、大腸の壁のむくみや炎症の範囲などを確認します。また、大腸カメラでは実際に大腸の粘膜を観察し、発赤、むくみ、出血、びらん、潰瘍など、虚血性大腸炎にみられる変化を確認することができます。
虚血性大腸炎でも大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は必要?
大腸カメラは虚血性大腸炎の診断に役立つ検査ですが、すべての患者さんに同じタイミング、同じ方法で行うわけではありません。 炎症が強い時期に無理に大腸の奥まで内視鏡を進めることは、かえって腸に負担をかける可能性があります。そのため、腹痛の程度や全身状態、CT検査などの結果をみながら、検査を行う時期や観察する範囲を判断します。また、症状が改善したあとに大腸カメラを行うこともあります。 これは虚血性大腸炎の状態を確認するだけでなく、血便の原因となる大腸がんやポリープなど、ほかの大腸疾患が隠れていないか確認するためにも重要です。
治療はどうする?
虚血性大腸炎の多くは一過性で、腸を休ませることで改善します。症状に応じて一時的に食事を控えたり、点滴で水分を補ったりしながら経過をみます。 軽症であれば外来で経過をみられることもありますが、腹痛や出血が強い場合、食事や水分を十分にとれない場合などには入院が必要になることもあります。多くの場合は数日程度で腹痛や血便が改善していきます。 一方で、頻度は高くありませんが、血流障害が非常に強くなると腸管が壊死する重症型もあります。その場合には緊急の治療や手術が必要になることがあります。そのため、「虚血性大腸炎なら自然に治るだろう」と最初から自己判断するのは避けましょう。
日常生活で気をつけることは?
虚血性大腸炎を完全に予防する方法があるわけではありませんが、日常生活では便秘と脱水をできるだけ避けることが大切です。普段から適度な水分摂取を心がけ、便秘を長期間放置しないようにしましょう。食事や適度な運動、規則正しい排便習慣なども便秘対策につながります。 ただし、心臓や腎臓などの病気で水分や食事について指示を受けている方は、自己判断で水分摂取量を増やさず、主治医の指示に従ってください。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの持病がある場合には、日頃から適切に治療を続けることも大切です。
横須賀で血便・腹痛があり大腸内視鏡検査を検討している方へ
突然の腹痛や血便は、虚血性大腸炎だけでなく、大腸がん、大腸ポリープ、大腸憩室出血、感染性腸炎、炎症性腸疾患など、さまざまな病気で起こることがあります。症状だけで原因を判断せず、必要に応じて検査を受けることが大切です。 久里浜横井クリニックでは、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)に加えてCT検査にも対応しています。症状や状態に応じて必要な検査をご案内し、腹痛や血便の原因を確認します。横須賀市・久里浜で大腸内視鏡検査をご検討の方はご相談ください。
まとめ|突然の腹痛と血便は放置しないで
虚血性大腸炎は、大腸への血流が一時的に低下することで、炎症や出血を起こす病気です。「突然の腹痛→下痢→血便」という経過が典型的で、中高年以降に多いものの、便秘などを背景に若い方にも起こることがあります。 多くは適切な治療によって改善しますが、血便を起こす病気は虚血性大腸炎だけではありません。大腸がんをはじめ、ほかの大腸疾患との区別が必要になることもあります。 特に、突然お腹が痛くなった、下痢のあとに血便が出た、血便を繰り返しているといった場合には、自己判断で長く様子を見ず、消化器内科を受診しましょう。また、血便が一度出たものの、その後症状が治まったという場合でも、必要に応じて大腸カメラなどを行い、出血の原因を確認しておくことが大切です。